漢方薬の服薬期間

当薬局での治療例に基づく服薬期間

ご相談件数の多い病気を例に挙げ、薬煎院薬局における煎じ薬の服薬により、どのくらいの期間で症状の改善がみられるかについてお示しします。なお、このページに示した服薬期間は、症状の全快に必要な期間を保証するものではありません。あくまでも当薬局における平均的な治療期間の例をご紹介するものです。
煎じパックを用いた治療例はその他にも数多くありますが、折を見てご紹介させて頂きたいと思います。

不妊症および不育症治療

不妊症および不育症の場合、およそ4カ月以内で結果が得られます。
妊娠可能な方であれば、早ければ2カ月程度、遅くとも4カ月以内に妊娠される方が殆どです。逆に、半年以上漢方薬の服用を試みられて妊娠された方はほとんどおられません。半年間漢方薬を服薬されて妊娠に至らない場合は、卵子の老化、男性側に問題がある可能性などが考えられます。それ故、当薬局では不妊症および不育症治療での半年以上の服薬はお勧め致しません。これらのことは処方決定時に皆様に申し上げます。

薬煎院薬局の煎じ薬パックを服用された患者さんがどのくらいで妊娠されたかカウントした表です

当店で不妊症および不育症の治療をされた方で印象深いお客様がおられます。ご主人様が医療関係者(整形外科医)で、ご主人様の「つて」によりいろいろな医療機関(産婦人科)を受診され(いわゆる様々な婦人科病院をドクターショッピングされたようです)治療を行ってこらたにもかかわらず子宝に恵まれなかったお客様が居られました。その方がたまたま当薬局の前を散歩しておられて、お店の不妊症治療の看板を見てふらりと来店されました。煎じ薬の服用をお勧めしたところ、「ものは試し」のつもりで服薬を始められ、でめでたく2か月後に妊娠され、最終的にかわいい赤ちゃんを出産されました。
それまで漢方薬の効果に否定的だったご主人様が一番驚いていたと後で伺いました。後々、お客様には大変感謝されましたが、この例は不妊症および不育症の治療において漢方薬、特に煎じ薬が強い効果を持つ良い例だと思います。店主もこのお客様の治療を通して漢方薬の真の力を改めて思い知らされることとなりました。

 

アトピー性皮膚炎

一般的なアトピー性皮膚炎の場合、最長2年で平均1年半の服薬が必要となります。
当薬局で一番ご相談が多い病気はアトピー性皮膚炎(以下アトピーと略します)です。
アトピーの場合、例えばハウスダストのようなアレルゲンによる一般的なアトピー症状の場合、漢方薬の服薬を開始すると、短い方では1年少し過ぎたぐらい、最長で2年、平均して1年半で肌がきれいになり完治致します。ここで言う完治とは、血中IgE抗体価がほぼゼロとなることであり、完治後は漢方薬をやめても一生アトピーがぶり返すことは有りません。
一方、アトピーには漢方薬で治りにくい種類のものもあります。このため当薬局では必ず問診を行ってから、先ずお客様が「漢方治療に適しているかどうか」を判断し、お伝え致します。治りにくいタイプの症状に対して漢方薬を薦めることは致しません。
また、アトピーを治すためには、アレルゲンを特定して遠ざける必要があり、服薬期間中に気を付けるべきことを逐次お話しいたします。

薬煎院薬局の煎じ薬パックを服用されたアトピーの患者さんがどのくらいで完治されたかカウントしました。薬煎院薬局の煎じ薬パックを服用されたアトピーの患者さんがどのくらいで完治されたかカウントしました。エキス剤は効きにくいことが初めからわかっているので、当薬局では煎じパックによる治療例が多くなっております。

当店におけるアトピー治療の成功確率は約91%です。
途中、お客様独自の判断で服薬を中断された場合などを除き、100人の治療実績の中で、途中で治療を放棄された方を含め完治されなかった方が9名いることになります。

不明(途中で投げ出された方)を含めても約91%成功であれば成功率は高いと言えるかもしれませんが、店主が以前製薬会社で抗アレルギー薬や抗炎症薬を創る基礎研究を行っていた経緯もあり、アレルギー疾患は店主自身の得意な分野です。それゆえ目指すところは限りなく100%に近づけることです。
アトピー治療に関しては、症状に対する正確な情報収集を事前に行えなければ思うように治療が進まないのがこの病気の治療の特徴と言えます。他の病気でもそうですが、アトピー治療では、どうして時間が必要なのか、なぜ漢方薬が効くのか、その仕組みを含めてできるだけ詳しく問診時に説明を行わせて頂きます。

 

抗ガン治療

ガン治療の場合の漢方薬の服薬期間の目安は1年から3年となります。
当薬局は「煎じ薬」をメインとした薬局であるという性質上、比較的「治りにくい方」「重症の方」が多く相談にみえられます。ガンはその典型的な例です。ガン治療において漢方薬を服薬する理由は2つあります。それは、
1.病院で受けられている化学療法、放射線療法による白血球や血小板減少などの「副作用」を軽減して、逆にガン細胞に対する抗ガン効果を高めるため。
2.5年後生存率を延ばすため。
1つめの例としては、実際に当薬局の漢方薬を服用され、担当医が驚くほどの著効が見られた例が複数あります。店主の経験した印象深い例としては、大腸ガンが腹膜をはじめ肝臓などに全身転移した患者様で、抗ガン剤による治療の副作用で著しく白血球数が減少し、主治医が治療を断念されたお客様が居られました。その方については、担当ドクターの了解のもとで当薬局の漢方薬を服薬されたところ、白血球数が正常値まで回復し、抗ガン剤治療を再開することができるようになり、余命4カ月と宣告された方が2年以上、今もご存命の例があります。上記の例では担当ドクターが一番驚いておられました。
上記の例は、漢方薬が抗ガン剤治療の副作用を抑える良い例です。特に効果的な漢方薬の服用法は、抗ガン剤治療に入る前から漢方薬の服用を始めることで、散見される血球減少、抜け毛、嘔吐、下痢、爪の異常などの副作用頻度を抑え、抗ガン効果を高めることができます。

2つめの例としては、漢方薬を服用した場合と漢方薬を服用しなかった場合を比較して、ガン患者様の5年後生存率が有意に伸びることが学会及び論文として多数報告されています。インターネットなどでも検索すると学会で報告された事例などを見ることができます。

残念ながら漢方薬自体にはガン細胞を死滅させるような効果はありませんが、抗ガン剤と併用することにより副作用を減らして抗ガン効果を相乗的に高めることが報告されています。ただし、店主の経験としては、良く病院で処方されるような粉末(もしくは市販の錠剤タイプ)の漢方薬では、上記の効果を期待することは難しいと考えております。それはこれらの剤形の漢方薬は生薬を煎じた「煎じ薬」タイプの漢方薬に比べて(あまりにも)非力だからです。煎じ薬は粉末タイプなどの漢方薬に比べて効き方がしっかりしているため、だらだらと飲み続けることは有りません。

 

2015年10月26日

Posted by 薬剤師 井手